週4勤務という働き方:世界の事例と日本での可能性

近年、働き方改革やワークライフバランスの重要性が高まり、「週4勤務」への関心が世界的に広がっています。フルタイムの5日勤務が当たり前だった時代から変わりつつあり、日本でも一部企業が試験導入を始めています。ここでは、週4勤務の概要やメリット・デメリット、海外の事例、そして実現に向けた課題を整理します。


1. 週4勤務とは?

週4勤務は、その名の通り週に4日だけ働く勤務形態です。主なパターンは以下の通りです。

  • 時短型:1日の労働時間を短縮しつつ週4日にする
  • 集中型:1日の労働時間を延ばして勤務日を減らす(例:10時間×4日)
  • 完全休暇型:勤務日を4日に固定し、残り3日を完全休暇とする

給与体系は企業や契約形態によって異なり、フルタイム換算で支払われる場合もあれば、労働時間に応じて減額される場合もあります。


2. 実際に導入されている国と結果

イギリス(2022年〜2023年の大規模試験)

  • 約60社・2,900人が半年間試験導入
  • 結果
    • 92%の企業が制度を継続または検討
    • 従業員のストレスが39%減少、バーンアウトのリスクは71%低下
    • 売上はほぼ変わらず(むしろ1.4%増加)

アイスランド(2015〜2019年の試験)

  • 公務員・民間合わせて約2,500人が参加
  • 結果
    • 生産性は維持または向上
    • ワークライフバランス・健康状態が改善
    • 試験後、約86%の労働者が短縮勤務を選択可能に

ニュージーランド(Perpetual Guardian社)

  • 2018年に全社員に週4勤務を導入
  • 結果
    • 生産性が20%向上
    • ストレスが45%減少、ワークライフバランス満足度が上昇

これらの事例から、適切な設計とテクノロジーの活用があれば生産性低下は避けられることが分かります。


3. メリット

① ワークライフバランスの向上

3連休を毎週取れることで、家族時間や趣味、自己投資の時間が確保できます。

② 生産性の向上

限られた時間内で業務を終える意識が高まり、集中力や効率が向上する傾向があります。

③ 健康面の改善

休養日が増えることで、睡眠不足やストレスの軽減につながります。

④ 離職防止・採用力アップ

柔軟な勤務形態を提供することで、優秀な人材の定着や新規採用に有利になります。


4. デメリット

① 給与減の可能性

労働時間が減る分、給与も減るケースが多く、生活費や貯蓄計画への影響があります。

② 業務負担の集中

勤務日が減ることで、1日のタスク量や残業が増えるリスクがあります。

③ 社内調整の難しさ

会議や顧客対応など、他部署・取引先とのスケジュール調整が必要になります。

④ 評価制度との不一致

現行の評価基準が「勤務時間」を重視している場合、不利になる可能性があります。


5. 実現のポイント

  • 生産性の可視化:勤務日数を減らしても成果が維持できることをデータで示す
  • 業務の優先順位付け:やらなくていい仕事を減らす
  • 社内の理解を得る:上司や同僚への説明・合意形成
  • 収入面の計画:給与減の場合、生活コストや副業で補う方法を検討

6. 筆者の意見

私個人としては、テクノロジーの恩恵を最大限活用して生産性が下がらないのであれば、週4勤務に賛成です。
むしろ、何の疑問も持たずに惰性で週5勤務を続けることは、会社にとっても労働者にとってもメリットが少ない気がします。
業務効率化や自動化が進む中、「時間で縛る」働き方よりも「成果で評価する」働き方の方が時代に合っていると感じます。


7. まとめ

週4勤務は、単なる勤務日削減ではなく、「働き方の最適化」を目指すアプローチです。
海外事例からも、生産性や企業業績に悪影響を与えないことが確認されつつあります。
日本ではまだ導入事例は少ないですが、労働人口減少や採用競争の激化を考えると、今後は有力な選択肢になる可能性があります。

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