ポートフォリオを組むとき、私が最初に決めたのは「比率」ではなかった

「何対何で分ければいいですか?」と聞かれて、答えに困った

投資を始めて1年ほど経った頃、後輩から「ポートフォリオって、株と債券を何対何で分ければいいんですか?」と聞かれたことがあります。そのとき私はすぐに答えられませんでした。自分も最初、同じことを知りたくてネットで調べまくっていたからです。

「株式60%、債券40%」「若いうちは株式多めで」「年齢と同じ%を債券に」。調べれば調べるほど、いろんな比率が出てきます。どれも説得力があるように見えて、結局どれを選べばいいのか分からなくなる。私もそうでした。

でも実際に自分で組んでみて気づいたのは、ポートフォリオを組む前に決めておくべきことは、比率ではなかったということです。

私が最初に決めたのは「何があっても触らない金額」

私がポートフォリオを組む前に最初に決めたのは、「この金額だけは絶対に投資に回さない」という線引きでした。具体的には、生活費の6か月分に加えて、車検や冠婚葬祭用に30万円。合計で約130万円を現金として確保すると決めました。

この金額を決めてから、ようやく「残りをどう配分するか」を考え始めることができました。逆に言えば、この線を引かないまま比率だけ決めても、どこか不安が残ったままになっていたと思います。

投資の本には「生活防衛資金を確保してから」とよく書いてありますが、これは比率の前提になる部分です。ここが曖昧なまま株式70%とか決めても、暴落が来たときに「あれ、この130万円って使っていいんだっけ?」と迷ってしまう。実際、私の周りでも、現金がいくら必要か決めずに投資を始めた人ほど、相場が崩れたときに慌てて売っていました。

次に決めたのは「何年使わないか」

現金を確保したあと、私が考えたのは「この投資資金は、いつまで使わないか」という時間軸です。5年後に使う可能性があるのか、10年は触らないのか、老後まで置いておくのか。これによって、取れるリスクの幅がまったく変わってきます。

私の場合は、当時32歳で、少なくとも10年は使う予定がないお金でした。それなら多少の値動きは気にしなくていい。むしろ長期で成長する資産に寄せた方が合理的だと考えました。

逆に5年後に家の頭金にする予定があるなら、株式100%にするのはリスクが高すぎます。その5年の間に暴落が来て、資産が半分になったまま引き出すことになるかもしれない。この「いつまで使わないか」を決めずに比率だけ決めても、途中で方針がブレてしまいます。

「何年後に使うか」で資産の中身は変わる

たとえば私の知人は、3年後に結婚資金として使う予定の100万円を、株式30%、債券30%、現金40%に分けていました。一方、老後資金として20年以上置いておくお金は、株式90%、債券10%という配分にしていました。同じ人でも、目的によってポートフォリオが違うわけです。

つまり「ポートフォリオ」と一口に言っても、それは「誰にとっても正しい比率」ではなく、「この目的のお金を、この期間でどう配分するか」という個別設計なんだと気づきました。

比率は「後から調整できるもの」だった

ここまで決めてから、ようやく私は具体的な配分を決めました。私の場合は、株式インデックス80%、債券インデックス20%という比率でスタートしました。理由は、10年以上使わない前提で、ある程度のリターンを狙いたかったからです。

ただしこれは「絶対の正解」ではなく、「今の自分にはこれが合っている」という仮の設定です。実際、1年半ほど経ってから、債券部分を15%に減らして現金を少し増やしました。相場が不安定になったとき、思ったより気持ちが揺れたからです。

比率は、後からいくらでも調整できます。でも「何があっても触らない金額」と「何年使わないか」という軸は、途中で変えると方針が崩れてしまう。だからこそ、最初に決めておく必要があったんだと感じています。

ポートフォリオは「完成させる」ものではない

私が後輩に伝えたのは、「比率を先に決めようとしなくていい」ということでした。まずは自分が安心できる現金の額を決めて、その上で「このお金は何年使わないか」を考える。そこから逆算して、株式と債券の比率を仮で決めてみる。それで1年くらい運用してみて、自分の感覚に合わなければ調整すればいい。

ポートフォリオは、最初から完璧に組むものではなく、自分の状況や気持ちに合わせて育てていくものなんだと思います。年齢が上がれば、リスク許容度も変わります。収入が増えれば、生活防衛資金の額も変わるかもしれません。

「株式60%、債券40%」という比率は、あくまでひとつの目安であって、出発点ではない。自分にとって譲れない軸を決めてから、その枠の中で配分を考える。私はそういう順番で組んだおかげで、相場が崩れたときも方針を見失わずに済みました。

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