マッチングアプリが変えた「恋人の作り方」

昔は、恋人ができる場所といえば、学校、職場、友人の紹介、合コンなどが中心だった。

でも今は違う。

スマホを開けば、住んでいる場所も、年齢も、趣味も、価値観も違う人のプロフィールが次々に出てくる。

恋人との出会いは、「偶然」から「検索」に変わった。

これが、マッチングアプリが変えた一番大きなことだと思う。

マッチングアプリは、もう珍しい存在ではない

2025年のMMD研究所の調査では、20〜69歳のスマートフォン利用者3万人のうち、マッチングサービス・アプリを「知っている」と答えた人は28.3%。

特に20代では46.2%、30代では38.6%まで上がっている。若い世代ほど身近なサービスになっていることが分かる。 (市場調査とマーケティングの矢野経済研究所)

実際、現在の主要サービスを見ると、

  • Pairs
  • with
  • tapple
  • Tinder
  • Omiai

などが定番になっている。

中でもtappleは2025年7月時点で累計会員数2,300万人を突破していると公表している。 (タップル)

さらに2026年時点では、tappleが「毎月12,000人のカップルが誕生」と公表するなど、恋愛の入り口としてかなり大きな市場になっている。 (タップル)

つまり、

「マッチングアプリで恋人を探す」こと自体が、特別な行動ではなくなってきた。

恋愛の「入口」が大きく変わった

以前なら、

「いい人いないかな」

と思っていても、そもそも出会う場所がなければ何も始まらなかった。

職場に異性が少ない。

友達に紹介してもらう機会もない。

休日は家にいる。

これでは、どれだけ恋人が欲しくても出会えない。

マッチングアプリは、この問題をかなり強引に解決した。

例えば、

「30代・東京・映画好き・土日休み・結婚を考えている」

という条件で相手を探せる。

昔なら数年かけても出会えなかったような人と、スマホを開くだけで接点を持てる。

これはかなり大きな変化だと思う。

お金を払って「出会い」を買う時代

もちろん無料でも使えるアプリはある。

ただし、男性の場合は有料会員になるケースが多い。

2025年の調査では、男性の利用料金として、

  • 1か月:約4,000円……40%
  • 3か月:約10,000円……22%
  • 6か月:約15,000円……11%

という回答が多かった。

一方で、約20%は無料で利用していた。 (タップル)

月4,000円と考えれば、決して安くはない。

でも、

「1年間何も出会いがなかった」

という状態から考えると、月4,000円で出会いの選択肢を増やせることを安いと感じる人もいるだろう。

恋愛にも、少しずつ「コスト」という考え方が入ってきた。

最大のメリットは「出会いの数」

マッチングアプリの一番のメリットは、やはりこれだと思う。

出会える人数が圧倒的に増える。

今までなら、

「職場にいる10人」

「友人の友人」

くらいしか候補がいなかった。

それがアプリなら、何百人、何千人というプロフィールを見ることができる。

もちろん、その全員と付き合えるわけではない。

むしろほとんどの人とは何も起こらない。

それでも、

「そもそも出会いがない」という問題を解決できる

ことは大きい。

特に、仕事が忙しくて職場以外の人間関係が広がりにくい人には相性がいい。

ただし、「選択肢が多い=幸せ」ではない

ここがマッチングアプリの面白いところだ。

選択肢が増えると、恋人を見つけやすくなる。

一方で、選択肢が多すぎると、

「もっといい人がいるんじゃないか?」

という気持ちも生まれる。

一人と会って、

「悪くないけど、もっとタイプの人がいるかも」

となる。

そして次の人を探す。

また次の人を探す。

いつの間にか、

恋人を探しているのに、ずっと比較している。

これは、昔の恋愛にはあまりなかった感覚だと思う。

「人」まで検索することの怖さ

マッチングアプリでは、プロフィール写真、年齢、職業、年収、趣味、身長など、相手の情報が最初から並ぶ。

これは便利だ。

でも同時に、人間をスペックで見てしまいやすい。

「年収○万円」

「身長○cm」

「大手企業勤務」

「趣味が合う」

そんな情報を見ながら、

「この人は自分にとって何点だろう?」

と無意識に考えてしまう。

本来、人間関係には、

「なんとなく好き」

「一緒にいると落ち着く」

「なぜか話しやすい」

という説明しにくい部分がある。

プロフィールでは、そこまで分からない。

もう一つの問題が「アプリ疲れ」

マッチングアプリは便利な反面、メッセージのやり取りがかなり面倒だ。

「はじめまして!」

「よろしくお願いします!」

「休日は何してますか?」

「映画好きなんですね!」

……。

これを何人とも繰り返す。

2025年の調査では、女性の約90%がマッチングアプリに何らかの疲れを感じ、約80%がメッセージのやり取りに疲れていると回答した調査もある。さらに約70%が、遊び目的などの相手への不安を感じていた。 (市場調査とマーケティングの矢野経済研究所)

つまり、

出会いが増えた一方で、「出会うまでの作業」も増えた。

これはマッチングアプリ時代ならではの問題だろう。

安全性も以前より重要になった

知らない人とインターネット上でつながる以上、安全面も無視できない。

そのため最近は本人確認を重視するサービスが増えている。

矢野経済研究所によると、マッチングアプリなどオンラインで人と人をつなぐサービスで、eKYCなどの本人確認技術の導入が進んでいる。 (市場調査とマーケティングの矢野経済研究所)

利用者側も、

  • 本人確認済みか
  • 不自然なプロフィールではないか
  • すぐに外部SNSへ誘導してこないか
  • お金の話をしてこないか
  • 投資や副業に誘ってこないか

などは確認したほうがいい。

便利だからこそ、「ネットで知らない人と会っている」という基本は忘れないことが大切だ。

それでも、マッチングアプリはなくならないと思う

問題はいろいろある。

でも、僕はマッチングアプリが一時的なブームで終わるとは思わない。

理由は単純で、

「出会いがない」という問題を解決しているからだ。

仕事が忙しい。

職場に異性が少ない。

友人から紹介してもらえない。

そもそも人付き合いが苦手。

そんな人でも、スマホ一つで出会いの場に参加できる。

これは強い。

今後はさらに、

「趣味」

「価値観」

「会話」

「行動パターン」

などを分析して、相性の良い相手を提案する方向に進んでいくだろう。

これからの恋愛は「AI×マッチング」になる?

例えば、

1,000人のプロフィールを見る

AIが100人に絞る

その中から10人と実際に話す

相性が良い人と会う

こんな流れになるかもしれない。

そうなると、人間が何百人ものプロフィールを眺める必要すらなくなる。

ただ、ここには少し怖さもある。

AIが、

「あなたと相性がいいのはこの人です」

と教えてくれても、

本当にその人を好きになるかは、会ってみないと分からない。

結局、恋愛の最後の部分だけは、アルゴリズムでは決められないのかもしれない。

恋愛は「探すもの」になった。でも「選ぶもの」ではない

マッチングアプリによって、恋人候補を探すことは圧倒的に簡単になった。

でも、

恋人を見つけることと、好きな人を見つけることは少し違う。

条件が合う人。

写真がタイプの人。

趣味が同じ人。

年収が高い人。

検索すれば、いくらでも見つかる。

でも、

「この人といると楽しい」

「なんとなく安心する」

「この人のためなら頑張れる」

という感情は、検索結果には出てこない。

だからこれからの恋愛は、

「どうやって出会うか」より、「出会った後にどう関係を作るか」

が、今まで以上に重要になるのだと思う。

マッチングアプリは、恋愛を効率化した。

でも、恋愛そのものを効率化したわけではない。

出会いは検索できるようになった。

でも、

「好き」は検索できない。

そこに、これからの恋愛の面白さが残っているのだと思う。

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