信託報酬0.1%の差に、どこまで神経質になるべきか
投資信託を選ぶとき、多くの人がまず目にするのが「信託報酬」という数字です。0.2%と0.1%、どちらが安いか。確かに長期で見れば差は大きくなりますが、私自身が実際に複数の投資信託を比較してきた中で感じたのは、信託報酬だけを見て決めるのは少し早いということでした。
もちろん信託報酬は重要です。ただ、それ以外にも確認しておくべきポイントがいくつかあって、それを見落とすと「安いはずなのに思ったより増えていない」という状況に陥ることがあります。
私が最初に確認しているのは「何に投資しているか」
信託報酬を見る前に、まず確認しているのが投資対象です。つまり、その投資信託が何にお金を投じているのか。国内株式なのか、米国株式なのか、全世界なのか、債券が混ざっているのか。
たとえば「全世界株式インデックスファンド」と書かれていても、実際には米国が約60%を占めていたり、新興国が含まれていなかったりします。目論見書や月次レポートを見れば、具体的な組入銘柄や地域配分が載っています。私の場合、楽天証券とSBI証券の商品ページで「月次レポート(PDF)」をダウンロードして、最初の数ページだけでも目を通すようにしています。
これを確認しておかないと、信託報酬が安くても、自分が望んでいない地域や業種に偏った投資をしてしまうことになります。
「ベンチマーク」を見れば、目指している方向がわかる
投資信託には、たいてい「ベンチマーク」という目標とする指数が設定されています。たとえば「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」や「S&P500」などです。
このベンチマークが何なのかを確認すれば、その投資信託がどんな値動きを目指しているのかが見えてきます。同じ「米国株式」でも、S&P500とナスダック100では性質がまったく違います。信託報酬が同じでも、中身が違えば結果も変わります。
信託報酬の見方:「実質コスト」まで確認する
信託報酬の話に戻ります。多くの人が見ているのは「信託報酬(年率)」という数字ですが、実はこれだけでは不十分です。投資信託には、信託報酬以外にも「売買委託手数料」や「監査費用」といった細かいコストがかかっていて、それらを合計したものが「実質コスト」と呼ばれます。
実質コストは、運用報告書に記載されています。たとえば信託報酬が0.1%でも、実質コストが0.15%になっていることもあります。この差は、頻繁に売買を行うファンドや、運用資産が少ないファンドで大きくなる傾向があります。
私が過去に選んだ投資信託の一つは、信託報酬0.11%に対して実質コストが0.13%でした。大きな差ではありませんが、年に一度は運用報告書を確認して、想定と大きく外れていないかをチェックしています。
純資産総額が小さいと、コストが高くなりやすい
もう一つ見ておきたいのが「純資産総額」です。これは、その投資信託に集まっているお金の合計額です。
純資産総額が小さいと、運営コストが相対的に高くなり、実質コストが上がる傾向があります。また、資金が集まらず運用が打ち切られる(償還される)リスクもあります。目安として、少なくとも100億円以上あるファンドを選ぶようにしています。人気があるファンドは1兆円を超えているものもあり、その場合はコストも安定しやすいです。
「ノーロード」かどうかも、意外と見落としがち
購入時にかかる手数料を「販売手数料(購入時手数料)」といいます。最近のインデックスファンドは、ほとんどが「ノーロード(手数料ゼロ)」ですが、銀行や対面証券で扱っている商品の中には、購入時に1〜3%の手数料がかかるものもあります。
仮に100万円を投資して、購入時手数料が3%なら、いきなり3万円が差し引かれて97万円からのスタートになります。これは信託報酬以前の話です。ネット証券で取り扱っている商品であれば、ほぼノーロードですが、念のため確認しておくと安心です。
私が実際に選んでいる投資信託の条件
整理すると、私が投資信託を選ぶときに確認しているのは次の5つです。
- 投資対象(何に投資しているか、ベンチマークは何か)
- 信託報酬(年率)
- 実質コスト(運用報告書で確認)
- 純資産総額(100億円以上が目安)
- 購入時手数料(ノーロードかどうか)
これらをすべて満たしていても、必ずしも「良い投資信託」とは限りません。たとえば、ベンチマークに忠実に連動しているか(トラッキングエラーが小さいか)、設定されてから一定の期間が経っているか、といった要素もあります。
ただ、最初に選ぶ段階では、上記の5つを押さえておけば大きく外すことはないと感じています。
信託報酬が安ければ安いほど良い、わけでもない
最後に一つだけ補足しておきます。信託報酬が安いことは確かにメリットですが、それだけで選ぶと、自分が本当に投資したい対象からズレてしまうことがあります。
たとえば、私は米国株式と全世界株式の両方を持っていますが、信託報酬だけで見れば米国株式のほうが若干安いです。それでも全世界株式を残しているのは、地域分散という目的があるからです。
投資信託は、信託報酬が低ければ低いほど良いという単純な話ではなく、自分が何に投資したいのか、どんなリスクを取りたいのか、という前提があって初めて選べるものだと思っています。信託報酬はその中の一要素に過ぎません。
もちろん、同じ投資対象で同じベンチマークなら、信託報酬が安いほうを選ぶのが合理的です。ただ、それ以前に「何を買っているのか」を理解しておくことのほうが、長期投資では大事だと感じています。
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